ベランダやバルコニーは、常時、風雨にさらされており、一戸建て住宅の場合は、雨漏りの原因となりやすい箇所です。ベランダ防水層を中心に、定期的なメンテナンスが必要です。ベランダ防水が劣化しているのに放置していたら、居室内への雨漏りやベランダを支える構造の劣化にもつながり、修理に多大な費用がかかってしまいます。
今回は、ベランダ防水の重要性について解説します。
ベランダやバルコニーは雨漏りの原因になりやすい
一戸建ての住宅でベランダやバルコニーと呼ばれている場所は、雨漏りの原因になりやすい箇所です。
ベランダとバルコニーは厳密には次のように意味が異なります。
✅ベランダ:2階以上に設置された屋根がある屋外スペース
✅バルコニー:2階以上に設置された屋根のない屋外スペース
ベランダの場合は、屋根があるため、雨水の侵入をある程度抑えられますが、横殴りの雨の場合は、やはり、ベランダ全体が濡れてしまうため、雨漏りの原因箇所があれば放置するのは危険です。
バルコニーは雨が降ると雨水を直接受けてしまうため、その分、雨漏りのリスクも高くなります。雨漏りの原因箇所があるなら早急の補修が必要です。
ベランダの雨漏り原因箇所
ベランダ、バルコニーの雨漏り原因箇所は、主に次の4箇所です。
・床(防水層)
・腰壁
・笠木
・掃き出し窓
それぞれ確認していきましょう。
床(防水層)
ベランダの床には、防水層が形成されています。ベランダの防水層を形成する工事をベランダ防水工事と言いますが、ベランダからの雨漏りを防ぐための最重要箇所と言えます。
一般的に一戸建てのベランダは、二階の床組から梁を跳ね出して、根太を渡し、その上に構造用合板を張って形成しています。防水層が切れてしまうと、木構造に雨水が染み込んでしまい、腐ってしまうおそれがあります。
一戸建てのベランダやバルコニーの防水層は、FRP防水、ウレタン防水、シート防水のいずれかにより施工されています。
FRP防水
FRPとは、Fiber Reinforced Plasticsの略称で、繊維強化プラスチックのことです。
ベランダにFRP防水工事を施工する際は、ガラス繊維マットと液状の不飽和ポリエステル樹脂を重ねることで防水層を形成します。
FRPの防水層を形成したら、防水層を保護するためのトップコートを塗って完成させています。
ウレタン防水
ポリウレタンというゴムのようなプラスチック樹脂素材を下地に塗ることによって防水層を形成しています。
FRP防水と見た目は区別しにくいですが、FRPの表面は固くなるのに対し、ウレタン防水の表面は柔らかいという違いがあります。
ウレタン防水の施工方法は、ウレタンを下地に直接塗る密着工法と、通気緩衝シートを下地に貼り付けてその上にウレタンを塗る通気緩衝工法の二種類があります。
シート防水
シート防水とは、ゴムや塩ビ(塩化ビニール)等で作られた防水性のあるシートを下地に敷くことで、防水層を形成する工法です。
一般的には、陸屋根や屋上の防水工事に用いられていますが、ベランダで利用されることもあります。
シート防水の施工方法は、下地と防水シートに接着剤を塗布して直接張り合わせる密着工法と、下地と防水シートの間に絶縁シート(通気シート)を挟む機械的固定工法が主な方法です。
シート防水は、防水性のあるシートを敷くだけで施工できますが、凹凸のある場所や複雑な形状の場所への施工には向きません。
床(防水層)の劣化症状
ベランダ、バルコニーの床(防水層)の劣化は普段から見ていれば比較的気づきやすいと思います。
ひび割れが生じている場合
ベランダ、バルコニーの床にひび割れが生じている場合は、そのひび割れから雨水が染み込むことで、木構造の劣化に繋がりかねません。
ただ、防水層には問題はなく、防水層を保護するトップコートに微細なヒビが生じているに過ぎないことが多いです。このような場合は、トップコートを塗り替えることにより、防水層を問題なく保護できます。
おおむね、10年程度を目安にトップコートの塗替えを行いましょう。
亀裂や雑草が生えている場合
ひび割れという程度ではなく、深い亀裂が生じている場合やベランダの床面が剥がれて雑草が繁殖している状態になっている場合は、トップコートだけでなく、防水層も劣化している事がほとんどです。
このような状況の場合は、単にトップコートの塗替えを行うだけでなく、防水工事をやり直す必要がありますし、下地の状態によっては、ベランダの床をすべて剥がして、木工事からやる必要もあります。
また、ベランダの直下の部屋で雨漏りが発生していることもあるため、その補修工事が必要なこともあります。
排水口回りの劣化
ベランダ、バルコニーの床(防水層)で最も劣化しやすく、雨漏りの原因となりやすい箇所が、排水口回りです。
排水口からうまく雨水が排出されず、水たまりができやすい状態になっていると、コケが繁茂するなどして、トップコートや防水層が侵食されがちです。その結果、排水口回りから大量の雨漏りが生じてしまうこともあります。
ベランダの排水口はゴミが溜まって、詰まりやすく、雨水が滞留しやすいため、定期的に掃除して、ゴミを取り除き、雨水がスムーズに排出される状態にしておくことが大切です。
排水口が劣化している場合は、防水工事の際に改修ドレンを差し込むなどの補修工事を行う必要があります。
腰壁
ベランダ、バルコニーの腰壁は外壁と一体となって作られていることが多いです。
腰壁から雨漏りというのはピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、外壁と同様のメンテナンスが必要です。
まず、腰壁がモルタルで形成されている場合は、クラックが生じることがあります。外壁の補修工事を行う際に、腰壁も点検してクラックが生じていれば、補修が必要です。
腰壁がサイディングの場合は、サイディングの間に打たれているコーキング(目地)が劣化して、その隙間から雨水が染み込んでいることもあります。
この場合もコーキングの打ち替え工事等が必要になります。
腰壁で注意したいのは、腰壁は外側の壁の劣化だけでなく、室内側の壁が劣化している場合でも雨漏りの原因となってしまうということです。
特に屋根のないバルコニーの場合は、腰壁の表と裏に関係なく、雨水に晒されて雨漏りが生じてしまうので注意が必要です。
笠木
ベランダ、バルコニーにおける笠木とは、腰壁の上部分を屋根のように覆っている部分のことです。
一般的には、アルミやガルバリウム鋼板で作られていることが多いです。防水性や耐久性で不安はないと思われがちですが、雨漏りの原因となってしまうこともあります。
特に、腰壁の角などの笠木の接続部分や笠木と外壁の取り合いの部分は要注意箇所です。
いずれも防水シートやコーキングを打つことによって、防水性を高めていますが、歳月が経つにつれて劣化した場合は、そこから雨水が染み込むことがあります。
笠木の隙間から染み込んだ雨水は、腰壁を構成する柱などに染み込んでしまい、やがてベランダの構造自体が腐ってしまうこともあります。
定期的に確認して、笠木の接続部分に隙間が生じていたり、歪みが発生していたり外れそうになっていると言った症状がある場合は、早めのメンテナンスが必要です。
掃き出し窓
掃き出し窓も雨漏りの原因となることもあります。窓自体は割れていなければ直接雨がかかっても問題ありませんが、サッシの周りは様々な要因により雨漏りの原因になりやすいです。
まず、サッシと外壁の間には、コーキングが打ち込まれていますが、コーキングが劣化して、亀裂や剥離が生じていると、その隙間から雨水が染み込んでしまいます。
サッシの周りの外壁は、モルタル外壁の場合、クラックが発生しやすい箇所です。屋根があるベランダなら雨水がかからないからと油断していると、台風などで横殴りの雨になったときに、その隙間から雨水が染み込んで雨漏りが発生してしまいます。
また、サッシの下端は雨が溜まりやすいため、うまくベランダの床に排水できるように設計されていることがほとんどですが、水抜き穴が塞がれている等、異常がある場合は、うまく排水できずに雨漏りの原因となることもあります。
ベランダの形状による雨漏りリスクの違い
ベランダ・バルコニーからの雨漏りのリスクは、ベランダの形状によって異なります。
ベランダ・バルコニーが外壁の外に張り出している場合
例えば、オーバーハングバルコニーやキャンチバルコニーと呼ばれる形状の場合、ベランダ全体が外側にあり、直下に居室がないため、室内への雨漏りという点ではリスクは少ないと言えます。
ただ、ベランダやバルコニーの裏側の軒天に雨染みが生じている場合は、ベランダの内部で雨漏りが生じていることになります。
ベランダの雨漏りはベランダの木構造を腐食させる恐れがあり、気づかないままに放置していると、ベランダ自体がいずれ崩落する危険もあります。
このような状況の場合は、ベランダ自体を作り直すほどの補修工事が必要になり、大変な費用がかかってしまいます。
ベランダ・バルコニーが外壁の外に張り出していない場合
例えば、インナーバルコニー、ルーフバルコニーと呼ばれる形状の場合は、ベランダの直下に居室があります。
この場合、ベランダの雨漏りは、居室内での雨漏りにつながってしまいます。
天井のクロスの雨染みから始まり、やがては、水滴が滴り落ちるようになったり、クロスや天井のボードが剥がれてしまうと言った被害が生じることもあります。
このような事態になると、修理するのに大変な費用がかかってしまいます。
ベランダからの雨漏りを防ぐには、普段からの点検が大切
ベランダやバルコニーからの雨漏りを防ぐには、普段からベランダの状態を確認して、劣化症状が見られたら早めに対処する必要があります。
特に、床(防水層)は定期的に点検し、劣化症状が確認された場合は、早めにベランダ防水工事を依頼するべきです。
また、床(防水層)の劣化を防ぐために普段から手入れを行いましょう。
特に、排水口回りにゴミが溜まっていたら、掃除し、雨が降ってもスムーズに排水できる状態を保つことが大切です。
まとめ
ベランダやバルコニーの防水層は歳月が経つと共に劣化します。
ベランダやバルコニーからの雨漏りは軽視されがちですが、放置すると構造が傷み、補修工事に大変な費用がかかるようになります。
ベランダやバルコニーの劣化サインが見られたらできるだけ早く補修メンテナンスを行うようにしましょう。
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