塗装工事に必要な資格は、たくさんありますし、難易度が高い資格もあります。ただ、塗装の技術をストレートに保証する資格は、一級塗装技能士だけです。
この記事では、塗装工事に関係する資格を解説します。
塗装工事を行う職人の技術と知識を保証する資格
塗装工事を依頼されるお客様にとって一番気になることは、実際に作業する職人が確かな塗装技術と知識を有していることではないでしょうか。
塗装工事に関係する資格は多数ありますが、職人の塗装技術と知識に対して、直接的にお墨付きを与えているのは次の2つの資格です。
✅一級塗装技能士
✅二級塗装技能士
この2つの資格は、職業能力開発促進法に基づき、中央職業能力開発協会が試験問題等を作成し、国または都道府県が実施しています。
塗装技能士試験に合格すると、一級は厚生労働大臣から、二級は都道府県知事から合格証書が交付され、技能士と称することができます。
塗装技能士の試験内容
一級塗装技能士と二級塗装技能士の試験は、それぞれ、学科試験と実技試験の2つが行われます。
学科試験は次のような知識を問うものです。
塗装一般 | 塗装の目的
塗装法の種類 塗料の調合及び色合わせの方法 塗料の乾燥の方法 塗膜試験の種類及び方法 塗装における欠陥の種類及び原因並びにその防止方法及び修整方法 塗装作業における養生 塗装に使用する器工具の種類、特徴及び使用方法 |
材料 | 塗料の種類及び性質
うすめ剤及び溶剤の種類と性質及び用途 塗装用補助材料の種類と特徴及び用途 |
色彩 | 色彩の用語
色彩の表示方法 色彩調節 |
関係法規 | 次の法規のうち、塗装工事に関する部分
(1) 消防法 (2) 毒物及び劇物取締法 (3) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (4) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律 |
安全衛生 | 安全衛生に関する詳細な知識 |
選択科目 | 木工塗装法、建築塗装法、金属塗装法、鋼橋塗装法、噴霧塗装法のいずれかから一科目選択 |
実技試験は、次のいずれかから一つの作業を選択して行います。
木工塗装作業 | へら及びたんぽの製作
素地調整 塗装作業 膜厚及び塗り色の判定 塗膜の修整 |
建築塗装作業 | 素地調整
塗装作業 膜厚及び塗り色の判定 塗膜の修整 |
金属塗装作業 | へらの調整
素地調整 塗装作業 膜厚及び塗り色の判定 塗膜の修整 |
鋼橋塗装作業 | 素地調整
塗料の粘度の測定 塗装作業 膜厚の測定 塗膜の修整 |
噴霧塗装作業 | 噴霧塗装機の分解、組立て及び調整
素地調整 噴霧塗装機による塗装作業 塗装用設備の調整及び使用 素地の良否の判定 膜厚及び塗り色の判定 塗膜の修整 |
一級塗装技能士と二級塗装技能士の試験の試験範囲は同じですが、一級の方がより細かい知識や技能が必要になります。
一級塗装技能士と二級塗装技能士の受検資格
一級塗装技能士と二級塗装技能士を受検するには、一定年数の実務経験が必要です。
建築学科などの大学や専門学校を卒業している場合は、実務経験の期間が短縮されますが、実務経験のみの場合は、
☑一級塗装技能士は七年
☑二級塗装技能士は二年
の実務経験を積むことが基本になります。
つまり、一級塗装技能士を有していれば中堅の職人、二級塗装技能士なら一人前の職人と言うことができます。
建築士や施工管理技士の資格はなくても大丈夫?
建築関係の資格というと、一級建築士や二級建築士がよく知られています。また、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士も有名です。
棟梁と呼ばれる人や現場監督などがこうした資格を有していることがあります。
塗装業者でもこうした資格を有しているケースがありますが、これらの資格は、設計や現場の施工管理を主に担う資格で、塗装技術や塗装の知識に直結している資格ではありません。
例えば、一級建築施工管理技士を取得していても、腕の良い塗装職人であるとは限らないということです。
建設業許可は会社の健全性を示す資格
建設業許可も塗装工事会社として取得しておきたい許可です。
建設業許可を取得するためには、
・建設業の経営経験が5年以上あること。
・専任の技術者がいること(塗装工事の場合は、一級塗装技能士等)。
・会社の役員が誠実な人であること(反社と無関係である等)。
・会社の財務基盤がしっかりしていること(資本金500万円以上等)。
・必要な社会保険に加入していること。
この5つの要件すべてを満たすことが求められています。
つまり、建設業許可を取得している塗装工事会社であれば、健全な会社だと判断することができるので、安心して仕事を任せることができます。
その他塗装工事に必要な資格
塗装技術や知識とは直接関係ありませんが、塗装工事を行うために必要な資格もあります。講習等を受けることにより取得できますが、現場での作業の安全性に関わるものがほとんどなので、これらの資格を有しているかどうかは、優良業者であるかどうかを見分ける一つの判断基準になります。
有機溶剤作業主任者
塗装工事でシンナーやラッカーを扱う際は、配置が必要になる資格です。有機溶剤は扱い方を間違えると、人体に被害を及ぼす恐れがあることから、現場で使用するには有機溶剤作業主任者の設置が必要です。
足場の組立て等作業主任者
高さ5メートル以上の足場を組み立てと解体を行うためには、足場の組立て等作業主任者の配置が必要です。
塗装業者が自社で足場の組み立てを行う場合は、足場の組立て等作業主任者を有している職人が必要になります。
特定化学物作業主任者
労働安全衛生法で定められている作業主任者の一つで、作業に従事する労働者が特定化学物質による汚染や吸引によって身体にダメージを受けることを防止するために、作業の方法を決定し、指揮します。
危険物取扱者
危険物取扱者は、甲種、乙種、丙種の3種類があります。甲種はすべての危険物の取扱作業及びその立ち会いが可能になります。
乙種は危険物の種類ごとの資格ですが、乙種第4類の引火性液体(ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類等)が最もニーズが高いです。
高所作業車運転技能講習
作業床高さ10m以上の高所作業車の運転作業に従事する場合に労働安全衛生法に基づいて終了が義務付けられている資格です。
ゴンドラ取扱い業務特別教育
ゴンドラとは、つり足場の作業床が専用の昇降装置により上下する機械のことです。ビルの外壁や窓の掃除でよく利用されています。
塗装業者も足場を組まず、ゴンドラで作業する場合は、ゴンドラ取扱い業務特別教育を受けておく必要があります。
石綿作業主任者
工場、建築物の解体や改修工事現場で石綿(アスベスト)を取り扱う作業などを行う場合は、石綿作業主任者技能講習を受けた責任者に安全管理を行わせる必要があります。
塗装業者の場合は、石綿(アスベスト)を含む屋根材の塗装工事を行う際に必要になります。
その他、塗装工事に関連のある資格
塗装工事とは直接の関係はありませんが、関連性の高い資格を紹介します。
カラーコーディネーター検定
カラーコーディネーターは、色彩の専門家です。デザインや商品開発などで活躍するイメージがあるかもしれませんが、外壁や屋根の塗装でも活用できます。
カラーコーディネーターを有している塗装業者なら、お客様に色の性質や特性に基づいた提案を行うことができます。
外壁診断士
外壁診断士は、住宅外壁の診断と診断後の補修方法を判断するスキルを有していることを認定する民間資格です。一般社団法人全国外壁診断士協会が認定しています。
外壁塗装に先立って、外壁の劣化具合を確認し、塗装工事だけで足りるのか判断しなければなりませんが、外壁診断士の資格を有している人が行えばより正確な判断が可能です。
外装劣化診断士
建物の基礎知識、建物診断の実務、関連する法規に付いての専門知識を有していることを認定する民間資格です。
一般財団法人塗装品質機構(PQA)が認定しており、塗装工事との関連性の高い資格です。
屋根診断士
屋根の状態の診断、修理と施工に特化した民間資格です。一般社団法人屋根診断士協会が認定しています。
雨漏り診断士
雨漏りに関する研究教育を行っているNPO法人 雨漏り診断士協会が認定する民間資格です。
雨漏り鑑定士
雨漏りをさせないための専門知識の普及を行っている一般社団法人雨漏り鑑定士協会が認定する民間資格です。
塗装工事の良し悪しは職人の経験次第
塗装工事を行う職人が一級塗装技能士を初めとする様々な資格を有していれば、一定レベルの知識や技術があることの証になります。
しかし、資格を有しているだけで、よい仕事ができるわけではありません。
資格の勉強では教科書に書かれている基本的な内容しか身につきませんが、実際の塗装現場は、教科書通りにならないことも多いからです。
やはり、塗装現場での経験を積んだ職人の方が、必要な塗装工事を適格に判断できますし、塗装工事の品質も高いものです。
資格は一定の目安にはなりますが、資格だけが全てではないということです。
まとめ
一級塗装技能士は、職人の塗装技術と知識を担保しているので塗装工事業者を探している方は、一級塗装技能士の資格を有しているかどうかを一つの目安にしてください。
弊社は江戸川区を中心に地域密着で塗装工事を行っています。
代表はもちろん、塗装を行う職人も一級塗装技能士の資格を有しております。
これからも地元の方々の期待に応えられるように高い塗装技術と知識を会得していく所存です。
外壁塗装や屋根塗装に関してお困りのことがあれば、いつでも弊社にお問い合わせください。