毎日の生活の中で、建物の外壁にヒビが入っているのを目にすることがありますよね。
一見小さなヒビに見えるため、多くの方が気にせず過ごしていますが、実は外壁の塗装剥離やヒビ割れなどの劣化は、適切な対処をしないと深刻な問題につながる可能性があります。
本記事では、外壁の劣化が引き起こす問題点や、早めの対応が必要な理由、効果的なメンテナンス方法について詳しく解説します。
外壁の色褪せについて知っておくべきこと
外壁の経年劣化には様々な種類があります。塗装面の剥離、変色、亀裂などが代表的ですが、ここでは特に「色褪せ」に焦点を当て、その原因や兆候、発生する問題点について解説します。
紫外線と風雨による色褪せの原因
建物の外装、特に「屋根」と「外壁」は、年間を通じて厳しい自然環境にさらされています。
特に注目すべきは紫外線の影響です。長期間の紫外線照射により、塗装に使用されている顔料分子の結合が徐々に崩壊し、色褪せが進行していきます。
この現象は建物の方角によっても異なり、南向きの壁面は北向きと比べて紫外線の影響を強く受けるため、色褪せの進行が速くなります。
また、塗料に含まれる顔料の種類も色褪せの進行速度に大きく影響します。
分子結合の強さは顔料の種類によって異なるため、耐候性の低い顔料を含む塗料は比較的早く色褪せが始まります。
このため、日照の強い面に使用する塗料を選ぶ際は、耐候性の高い製品を選択することが推奨されます。
施工の品質による色褪せについて
外壁の色褪せは自然環境による経年劣化が主な原因ですが、施工の品質にも大きく左右されます。特に、不適切な施工方法や技術力不足が原因で早期に色褪せが発生するケースがあります。
外壁塗装では、単に塗料を表面に塗布するだけでは十分ではありません。外壁の材質に適した塗料を選び、正しい手順で施工することが重要です。
不適切な塗料の選択や期限切れの製品を使用すると、塗膜の定着が不十分となり、早期の色褪せを引き起こす可能性があります。
専門的な施工では、下塗り、中塗り、上塗りの3段階で作業を進めます。これを「三度塗り」と呼びます。
この「三度塗り」の工程を省略したり、各層の乾燥時間を十分に確保しないと、塗膜内に過剰な水分が残留し、塗装の劣化を加速させる原因となります。
結果として、予想以上に早い段階での色褪せが発生してしまいます。
色褪せによる外壁の劣化兆候について
外壁塗装の色褪せは、建物の保護機能が低下している重要なシグナルです。早期発見と対処が建物の長寿命化につながります。以下では主な劣化兆候を解説します。
チョーキング現象
塗装面が劣化すると、表面にチョークのような白い粉が浮き出てきます。これが「チョーキング現象」です。
この白い粉末の量が多いほど劣化が進行しており、外壁の防水性能が著しく低下している証拠です。
この状態を放置すると、雨水の浸入によって建物内部での水害、カビの発生、木部の腐食、さらにはシロアリの被害まで引き起こす可能性があります。外壁表面の白い粉は深刻な警告サインと考えましょう。
クラック現象
外壁の色褪せに伴って発生する可能性があるのが「クラック現象」、すなわち表面のひび割れです。
塗装面が薄くなることで微細なひび割れが発生し、そこから雨水が侵入することで建物の防水性能が損なわれていきます。
見た目の問題だけでなく、地震時の建物の耐久性にも影響を及ぼす可能性があるため、色褪せとクラックが確認された場合は、速やかな補修が推奨されます。
外壁塗装の「色褪せ」「ひび割れ」への対策方法
外壁塗装の劣化を防ぐには、適切な予防措置と定期的なケアが重要です。以下では、効果的な対策方法をご紹介します。
計画的なメンテナンスの実施
塗料には寿命があり、種類によって耐久性が異なります。一般的な塗料は約10年で劣化が目立ち始めるため、定期的な点検と補修が必要不可欠です。
高耐久性塗料の選択
塗料の選び方で、外壁の寿命は大きく変わります。以下に、主な塗料の耐用年数をまとめました。
・アクリル塗料 5~8年
・ウレタン塗料 7~10年
・シリコン塗料 10~15年
・ラジカル(制御型)塗料 12~15年
・光触媒塗料 12~20年
・フッ素塗料 15~20年
・無機塗料 20~25年
近年注目を集めているのが、「セルフクリーニング」機能を備えた塗料です。代表的な製品として
・光触媒塗料
・低汚染塗料
・ナノテク塗料
これらの塗料は、雨水による自浄作用で外壁の美観を保ちます。
また、最新技術として「ラジカル制御塗料」が注目されています。この塗料は、紫外線による色素劣化を抑制する特殊な機能を持ち、従来品と比べて優れた耐候性を発揮します。
参考サイト:▷ラジカル塗料とは?塗装業者が選ぶおすすめラジカル塗料ランキング 特徴や価格を徹底比較
外壁塗装の「剥がれ」「膨れ」について
外壁の劣化には色褪せ以外にも、「剥がれ」や「膨れ」といった症状が発生することがあります。これらの症状を放置すると、建物に重大な影響を及ぼす可能性があるため、早期発見・対処が重要です。
「剥がれ」「膨れ」の主な原因
外壁塗装の剥がれや膨れには、主に以下の2つの要因があります。
塗装工程における問題
外壁塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の三層構造で行われます。それぞれの層に適した専用塗料を使用する必要がありますが、不適切な塗料の選択や施工方法により、塗膜の密着力が低下することがあります。
また、塗料の調合には細かな配慮が必要です。塗料と希釈剤の配合比率は、気温や湿度などの環境要因によって適切に調整しなければなりません。この作業には熟練の技術と経験が不可欠で、不適切な調合は塗膜の品質低下を招きます。
下地処理の不備
塗装の成否を左右する重要な工程が下地処理です。主な作業として
「高圧洗浄」・・・高圧洗浄機を使って強力な水圧で水を噴射してほこりや汚れを除去する
「クラック補修」・・・ひび割れ、亀裂などをコーキング材などで補修しておく
「ケレン作業」・・・錆び、古い塗膜などを専用の道具を使って削り落とす作業
これらの工程を丁寧に行うことで、新しい塗料の密着性が高まります。逆に、下地処理が不十分だと、どんなに良質な塗料を使用しても剥がれや膨れが発生しやすくなってしまいます。
「剥がれ」「膨れ」による深刻な影響
外壁の「剥がれ」や「膨れ」は、建物の状態を判断する重要なサインとなります。
最も目立つ影響は建物の外観の劣化です。メンテナンスが行き届いていない印象を与え、資産価値の低下にもつながります。
外壁を実際に確認すると、表面の凹凸や塗膜の浮きが触って分かるほど明確になっています。
さらに重要なのは、外壁本来の機能が著しく低下することです。「耐水性」「耐光性」「衝撃保護」といった重要な保護機能が失われていきます。
最も警戒すべきは構造への影響です。壁内部への水の侵入により、雨漏りが発生したり、シロアリの被害や木部の腐食につながる可能性が高まります。
まとめ
外壁には経年劣化により様々な問題が生じます。代表的な症状として色褪せ、クラック、塗膜の剥離、膨れなどが挙げられます。
幸いなことに、外壁の劣化は目視で確認しやすく、早期発見が可能です。これは屋根の損傷と比べても対処がしやすい特徴といえます。
しかし、これらの症状を放置すると雨水の浸入を招き、建物全体に深刻な被害が及ぶ可能性があります。そのため、劣化の兆候が見られた時点で、速やかに専門家による点検・修繕を検討することをお勧めします。
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