外壁のひび割れはクラックと言いますが、大きさによって、ヘアークラック、構造クラックといった分類があります。
外壁のクラックは補修工事を行ったうえで塗装すれば、大抵の場合、目立たなくすることができますし、雨漏りによって建物が傷んでしまう被害を防止することができます。
外壁のひび割れの補修が必要かどうかの判断基準や補修方法について解説します。
外壁のひび割れ「クラック」とは？
外壁にひび割れが生じることがあります。ひび割れのことをクラックと言います。
クラックが生じやすい外壁は、モルタル外壁です。
クラックは、幅、深さや原因によって、様々な呼ばれ方をします。
ヘアークラックとは
ヘアークラックは、髪の毛ほどの細いクラックのことです。幅が0.3mm以下、深さが4mm以下のひび割れのことを意味します。
ヘアークラックは、塗料の劣化によって生じる場合もあるので、モルタル外壁のほか、窯業系サイディング材やALC外壁などでも生じることがあります。
ヘアークラックが塗膜のみに生じている場合は、塗膜の経年劣化によるものなので、外壁塗装によって治すことができます。
外壁材がひび割れている場合は、下地の補修によってひび割れを埋める必要がありますが、その後で外壁塗装を行うことで補修跡を目立たなくすることができます。
構造クラックとは
構造クラックとは、貫通クラックとも言い、外壁材そのものにひび割れが生じている状態です。幅が0.3mmを超えるひび割れが該当します。
外壁材がひび割れている場合は、その隙間から雨水が染み込むおそれがあります。
雨水が染み込んでも防水シートによってさらなる雨水の侵入を防ぎますが、内部の防水シートが劣化している場合は、建物内部の断熱材が湿った状態になってカビが発生したり、建物の耐力壁や柱、梁などの構造部分にも影響が出ますし、雨漏りの原因になることもあります。
構造クラックを見つけたら、速やかに補修する必要があります。
発見が早ければ、外壁内部が深刻な状態になる前に、ひび割れを塞いで、建物を守ることができます。
開口クラックとは
ドアや窓の開口部付近に発生するクラックのことを特に開口クラックと言います。
ドアや窓の開け閉めの際は、開口部付近の外壁に大きな衝撃が伝わることがあります。
その結果、開口部付近の外壁がひび割れてしまうことがあるのです。
開口クラックは、構造クラックとなっていることが多いため、そのまま放置していると、窓枠からの雨漏りの原因となってしまいます。
乾燥クラックとは
基礎の鉄筋コンクリートやモルタル外壁は、現場で水と原料をこねることによって作っています。
コンクリートやモルタルに含まれた水分は、施工後、少しずつ蒸発し、コンクリートやモルタルが乾燥収縮します。
その結果、生じるクラックを乾燥クラックと言います。
乾燥クラックは、ヘアークラックの状態に留まることが多く、直ちに補修する必要はありませんが、気になる場合は外壁塗装になる補修も有効です。
クラックが広がり、構造クラックの状態になった場合は、雨水が染み込んでしまいますから、補修が必要です。
外壁のひび割れ（クラック）が生じる原因
外壁のひび割れ（クラック）が生じる原因はいくつかありますが、一つだけでなく複数の要素が絡んでいることもあります。
代表的な原因を確認しておきましょう。
外壁塗装の経年劣化
外壁塗装の塗膜は、時間の経過とともに経年劣化が進行します。
塗膜が脆くなるとひび割れが発生しやすくなります。塗膜にひび割れが生じている程度であれば、外壁塗装で補修できます。
建物への振動
建物は常に周辺からの振動を受けています。
例えば、前面道路を車が通行すればその振動が伝わります。建物に振動が伝わると、外壁にひび割れが生じることもあります。
近くに高速道路や線路がある場合は、常時、振動にさらされているようなものですから、静かな住宅街と比べても外壁にひび割れが生じるリスクが高いです。
また、ドアや窓の開け閉めにより、開口部付近の外壁に振動が伝わりひび割れとなることもあります。
地震
地震の際は建物が大きく揺れるため、外壁にひび割れが生じてしまうこともあります。
大地震でなくても、ある程度規模の大きな地震に見舞われた後は、構造クラックが生じてしまっている可能性があるため、念入りに点検したほうが良いでしょう。
施工ミスや地盤沈下など
新築時からいくらも経たないのに外壁にひび割れがある場合は、施工ミスの可能性があります。
外壁塗装では、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗装を行いますが、それぞれの塗装の間に十分な乾燥時間を設けなければなりません。
乾燥が不十分なまま塗装してしまうと、塗膜のひび割れの原因になってしまいます。
また、下塗り、中塗り、上塗りで使う塗料は、外壁やそれぞれの塗料との相性を考慮して選択しなければなりませんが、その選択が不適切な場合は、塗膜のひび割れの原因になります。
さらに、地盤沈下などにより建物が傾いている場合は、建物が歪んでしまうため、外壁のひび割れの原因になります。
補修が必要な外壁のひび割れ（クラック）
外壁のひび割れ（クラック）の大きさにより、すぐに補修すべきなのか、様子を見ても大丈夫なのかは異なります。
どの程度のクラックなら、補修が必要なのか確認していきましょう。
クラックが幅0.3mm以下
クラックが幅0.3mm以下の場合は、ヘアークラックの段階にとどまるため、直ちに補修する必要はありません。
外壁の塗膜にひび割れが生じていても外壁材まではひび割れが生じていない場合も多いからです。
クラックが幅0.3mm以上1.0mm以下
クラックが幅0.3mm以上1.0mm以下の場合は、構造クラックの可能性があります。
このまま放置した場合は、雨水が染み込み続けて、外壁内部が湿った状態になってカビが発生したり、雨漏りの原因になることもあります。
できれば、この段階に達する前に補修工事を検討すべきです。
クラックが幅1.0mm以上
クラックが幅1.0mm以上の場合は、構造クラックなので建物内部に確実に雨水が染み込んでいます。
このままでは、外壁内部が湿った状態になり、カビが発生するだけでなく、耐力壁や柱、梁などが傷んでしまい、建物の耐震性にも大きな影響が出てしまいます。
外壁のひび割れ（クラック）の補修方法
外壁のひび割れ（クラック）が外壁塗装によって対処できる場合でも塗装の前に、ひび割れ補修を行わなければなりません。
ひび割れ補修の方法は、クラックの幅によって異なります。
シール充填
クラックにシーリング材（コーキング材）を充填するだけの簡単な補修方法です。
ヘアークラックのようにクラックが深くない場合は、奥までシーリング材を染み込ませる必要がないので表面に軽く充填するだけで足ります。
シーリング材を充填した跡は、目立ってしまうため、外壁塗装を行うのが一般的です。
カット工法
クラックをディスクグラインダーなどで削り（Vカット・Uカット）、その隙間にシーリング材（コーキング材）を充填する方法です。
構造クラックのようにクラックが深い場合にこの方法が用いられます。
クラックを削ることによって、シーリング材の接着面が増えて接着力が高まるので、クラックの再発防止に役立ちます。
樹脂注入工法
クラックの隙間に注入器を使って樹脂を充填する方法です。
クラックが深く、カット工法だけでは十分な補修効果が見込めない場合などに検討されます。
鉄筋コンクリートのクラックの補修などで用いられることが多いです。
外壁のひび割れ（クラック）は塗装で対処できるのか？
外壁のひび割れ（クラック）が、塗膜のみに生じているケースなら、外壁塗装だけで対処できます。
外壁塗装の手順は次のとおりです。
☑高圧洗浄
☑下地調整
☑下塗り
☑中塗り
☑上塗り
高圧洗浄と下地調整の段階で、古い塗膜で剥がれそうなものがあればケレン作業によって取り除きます。
塗膜にひび割れが生じている場合は、塗膜が剥がれかかっていることもあるため、念入りに下地調整を行います。
下地調整の段階で、クラックが塗膜だけでなく外壁材にも達していることが分かったら、上記の補修方法のいずれかを用いて補修を行います。
ひび割れが発生しやすい外壁の場合は、弾性塗料と言い、ひび割れにもある程度追従する塗料を選ぶとひび割れが生じにくくなります。
外壁のひび割れ（クラック）はDIYでも直せるのか？
外壁のひび割れ（クラック）を発見した場合、DIYで直そうとする方もいらっしゃると思います。
結論から言うと、DIYで補修工事を行っただけでは、応急措置にとどまる事が多いです。
また、見た目も良くないことがあります。
ひび割れは一箇所だけでなく、目立たない場所でも生じている可能性があるので、外壁のどこかにひび割れがある場合は、早めに専門家に点検してもらったほうが良いです。
外壁のひび割れ（クラック）は塗装屋さんでも直せるのか？
外壁のひび割れ（クラック）は、塗装工事の専門業者でも直すことができます。
塗膜のひび割れに留まる場合はもちろんですが、外壁材にもひび割れが生じている場合も、補修工事を行ったうえで、仕上げとして外壁塗装を行うことができます。
まとめ
外壁のひび割れ（クラック）は、放置すると雨漏りの原因になりますし、建物の寿命を縮めてしまいます。ひび割れを発見したら早めに塗装工事の専門業者に確認してもらい必要な工事を行ってもらうべきです。
弊社は江戸川区を中心に地域密着で塗装工事を行っています。
外壁のひび割れの補修工事の依頼もお受けしています。
お客様の外壁に合わせた最適なメンテナンス方法を提案させていただきますので、お困りのことがあれば、いつでも弊社にお問い合わせください。
