近年流行りを見せている外壁サイディングは、塗装の際にクリヤー塗装(クリア塗装)を行うことがあります。
デザイン性や意匠性が高く、比較的新しい外壁について、その状態を長持ちさせたい場合に検討されます。
そのためには新築から10年未満をめどに早めに塗装することが大切です。
今回はそんなクリヤー塗装の特徴や注意点について解説します。
クリヤー塗装(クリア塗装)とは
外壁の塗装というと色のついた塗料を塗るのが一般的だと考える方も多いと思います。
しかし、最近の外壁サイディングはデザインが良く、意匠性が高いものが多いため、塗料で塗りつぶすのはもったいないと感じることもあるかもしれません。
しかし、外壁の劣化を防ぐには一定期間が経過したら塗装しなければなりません。
「サイディングのデザインは維持したい」でも「塗装する必要がある」
そんな時に選択肢に上がるのが、クリヤー塗装(クリア塗装)です。
クリヤー塗装は、塗料の色のもととなる顔料を含まない無色透明の塗料のことです。
レンガ調、タイル調、石目調といった意匠性の高いサイディングのほか、タイルやコンクリートの外壁にも最適です。
クリヤー塗装(クリア塗装)のメリット
無色透明の塗料であるクリヤー塗装のメリットを確認しましょう。
外壁のデザインや意匠性を残せる
顔料入りの塗料の場合は、もとの下地を完全に塗りつぶしてしまいますが、無色透明の塗料であるクリヤー塗装なら、外壁のデザインや意匠性を残すことができます。
チョーキング現象が起こりにくい
チョーキング現象は白亜化現象とも呼ばれ、外壁に手で触れたときに、白っぽい粉のようなものが付く状態のことです。
色のついた塗膜が歳月の経過により劣化した場合によく起きます。
塗料の色のもとは顔料です。顔料は合成樹脂と混じる形で、サイディングの表面に塗られますが、合成樹脂は雨や紫外線にさらされ続けることで劣化します。すると、顔料が粉状になって塗装表面に現れるようになります。
これを手の平で触れると、チョークの粉のようなものが付着してしまいます。
クリヤー塗料にはチョーキング現象の原因である顔料が含まれていません。
そのため、劣化してもチョーキング現象が起きないということです。
艶を出すことができる
クリヤー塗装では、外壁面に色はつきませんが、ニスを塗ったようにツヤを出すことができます。
ツヤがあれば、新築時のような真新しさになります。
あまりツヤが出るのが好きではない場合は、ツヤの程度を調整することも可能です。
クリヤー塗装(クリア塗装)のデメリット
無色透明の塗料であるクリヤー塗装のデメリットを確認しましょう。
劣化状況を隠せない
色のついた塗料なら、塗装後に外壁が新築同様に新しくなりますが、クリヤー塗装の場合は真新しさを出すことはできません。
外壁が劣化している場合は、そのままの状態でツヤが出ているだけということになります。
また、カビやコケなどの汚れが完全に落ちていない場合は、薄汚れた状態が残ってしまいます。
ひび割れを隠せない
外壁にひび割れがある場合は、下地調整の段階で、ひび割れを補修します。補修後は、コーキング(シーリング)を埋めたあとが残ってしまいます。
その上に無色透明の塗料でクリヤー塗装しても、補修跡を隠すことはできません。
クリヤー塗装(クリア塗装)に向いている外壁
クリヤー塗装に向いている外壁は、窯業系サイディング、モルタル、コンクリートの外壁です。
こうした外壁が次のような状態なら、検討の余地があります。
デザイン性、意匠性の高い外壁
現在主流の外壁材は、窯業系サイディングです。窯業系サイディングを再塗装する場合は、色のついた塗料で振り潰す形にするのが一般的です。
ただ、レンガ調、タイル調、石目調といった意匠性の高い窯業系サイディングの場合は、もとのデザインを活かしたいこともあると思います。
そのような場合はクリヤー塗装が向いています。
劣化が少ない外壁
劣化が少なくキズや汚れもほとんどない外壁でも、塗装により、保護することができます。この場合、もとの外壁を塗りつぶしてしまうのはもったいないので、クリヤー塗装を検討することもあります。
おおむね、新築時から10年未満で塗装する場合は、まだ外壁の劣化がそれほど進んでいないため、クリヤー塗装が向いています。
クリヤー塗装(クリア塗装)に向いていない外壁
クリヤー塗装に向いていない外壁もあります。具体的に確認しましょう。
金属系サイディングの外壁材
クリヤー塗装はツルツルしている外壁では密着性が悪いため向いていません。
金属系サイディングはそうした外壁の代表例です。
また、金属系サイディングの塗装は、防錆やサビを隠すことを目的に行いますが、サビた部分にクリヤー塗装を塗ってもその状態が見えたままになるため、向いていません。
光触媒やフッ素塗料の外壁
クリヤー塗装はツルツルしている外壁では密着性が悪いですが、光触媒やフッ素塗料でコーティングされた外壁もその代表例です。
光触媒やフッ素塗料の上にクリヤー塗装しても、塗膜が剥がれやすくなることが多いです。
劣化が著しい外壁
外壁が劣化している場合は、補修したうえで塗装工事を行います。
例えばひび割れがある場合は、コーキング(シーリング)でひびを埋めますが、補修跡は目立ちます。
そこで、色のついた塗料で塗りつぶすことで、補修跡がわからないようにする目的があります。
補修した後でクリヤー塗装をしても塗装の意味が半減してしまうので、劣化が著しい外壁には向かないということです。
サイディングへのクリヤー塗装(クリア塗装)の注意点
サイディングは、表面に顔料を含む塗料で初期塗装しているものが一般的です。
このサイディングにクリヤー塗装を行う場合は、劣化状態に注意する必要があります。
具体的には、サイディングにチョーキング現象が生じている場合は、クリヤー塗装では、施工不良になってしまいます。
チョーキング現象が生じている外壁の上に、無色透明のクリヤー塗装をすると、ムラになったり、白っぽく濁ってしまうからです。
新築時、前回塗装時から10年以上経過している場合は、チョーキング現象が生じている可能性が高いので、検討前によく確認する必要があります。
クリヤー塗装(クリア塗装)の種類と相場
クリヤー塗装は、一般の塗料と同様に様々な種類があります。
アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機塗料です。それぞれの費用相場と耐用年数は次のとおりです。
塗料の種類 | 1平方メートル当たり | 耐用年数 |
アクリル | 1,000〜1,800円 | 3〜8年 |
ウレタン | 1,500〜2,500円 | 5〜10年 |
シリコン | 2,000〜3,500円 | 10〜15年 |
フッ素 | 3,000〜4,800円 | 12〜20年 |
無機塗料 | 3,500〜5,500円 | 15〜25年 |
代表的なクリヤー塗装(クリア塗装)の塗料
クリヤー塗装の塗料は様々なメーカーからでていますが、代表的なものとしては、日本ペイントのUVプロテクトクリヤーが挙げられます。
UVプロテクトクリヤーには、シリコン系とフッ素系の2種類があります。
UVプロテクトという名前の通り、紫外線に対する耐性を高めた塗料です。
もとの外壁の塗膜が紫外線によって劣化することを防ぐ性能が高いため、当初の外観を長く維持することができます。
また、超低汚染性という性能があることも特徴です。
これは外壁の表面に付着した汚れを水や雨水だけで流れ落とすことができるという性能です。
これによって汚れだけでなく、カビやコケが付着することも防げます。
ツヤの程度もつや有り、3分つや、つや消しの3つから選べます。
クリヤー塗装(クリア塗装)の工程
クリヤー塗装の流れは次のとおりです。
✅足場仮設・養生
✅高圧洗浄
✅下地調整
✅中塗り
✅上塗り
外壁塗装では、足場の仮設は必須です。
また、無色透明の塗料でも、窓についたら跡が残ってしまうので、必ず養生します。
クリヤー塗装ではもとの外壁がそのまま透けて見えてしまうため、高圧洗浄で汚れを徹底的に落とす必要があります。
下地調整では、ひび割れ補修が必要な場合もできる限り目立たないようにします。
そして、クリヤー塗装の大きな特徴の一つが、下塗りがない点です。
下塗りは、下地の補強や新しい塗膜の接着性を高めるために行いますが、その工程がカットされて、中塗り、上塗りの2回のみ行います。
下塗りの工程がない分、工期は短くなりますし、人件費も安く抑えられます。
まとめ
クリヤー塗装(クリア塗装)は、デザイン性や意匠性の高い外壁で比較的新しい場合にその状態で長持ちさせるために行います。
クリヤー塗装が可能かどうかは、塗装業者が外壁の状態を確かめる必要があります。
弊社は江戸川区を中心に地域密着で外壁や屋根の塗装工事を行っています。
クリヤー塗装にも対応していますので、今の外壁を維持したいお客様は早めにご相談ください。
クリヤー塗装以外にも、様々なアドバイスをさせていただきますので、塗装に関してお悩みのことがあれば、いつでも弊社にお問い合わせください。