外壁塗装工事の際は、同時にコーキング工事を施工することもあります。
コーキングは、外壁材の隙間や外壁とサッシ枠の境目などに打ち込まれていますが、これにはどのような役割があるのでしょうか。また、コーキングの劣化症状やメンテナンスの方法についても解説します。
コーキングとは
コーキングとは、建材の隙間や継ぎ目を埋めるために充填されているゴム状の材料のことです。
身近なものではお風呂の浴槽と壁の隙間にコーキングが埋められています。
外壁でも外壁とサッシの隙間、外壁と外壁の間にコーキングが打たれていることが多いです。
「コーキング」と「シーリング」の違いは?
コーキングのことをシーリングと呼ぶこともあります。通常は、両者の意味は同じです。
ただ、コーキングガンを使ってペースト状のものを隙間に充填する場合をコーキングと呼び、シールのように形の決まっているものを隙間に貼る場合をシーリングと呼んで使い分けることもあります。
いずれも継ぎ目や隙間に充填することで、防水性や気密性を保持するものです。
コーキングの役割
外壁に施工されるコーキング材は建物を守るために重要な役割を果たしています。
雨漏りを防ぐ
建材の境目に隙間がある状態のままだと、そこから雨水が進入し、雨漏りの原因になってしまいます。そこで、コーキング材を埋めることにより雨水の侵入を防いでいます。
✅建材同士がぶつかるのを防ぐ
異なる建材の間にはあえて隙間が設けられることがあります。
例えば、サッシの枠と外壁材の間は、基本的に隙間がありますし、サイディングやALCパネルの間にも隙間が設けられています。
隙間を設けなかった場合、地震時に枠と外壁材がぶつかり合って、歪んだりひび割れが生じてしまいます。
そこで、あえて隙間を設けて、ゴムのように弾力性のあるコーキング材を埋めることによって、建材同士がぶつかり合うことによる損傷を防いでいます。
つまり、コーキングは建材同士の緩衝材の役割を果たしているわけです。
✅外壁の補修工事に利用されることもある
外壁にひび割れが生じた場合は、ひび割れした外壁を交換するのがベストですが、モルタル外壁のように交換ができない場合は、隙間を充填する形で補修します。その際にもコーキング材が用いられています。
コーキング材の寿命
一般的なコーキング材の寿命はそう長くはありません。
コーキング材は、毎日紫外線を浴び、風雨に叩かれて、過酷な環境に晒されています。
そのため、耐用年数は5年から10年と言われています。
現在の外壁は、最低でも新築時から10年以上は何もしなくても問題ないものも多いですが、コーキング材はそれほど長持ちしません。
できれば10年ごとに外壁、特にコーキングの部分を点検して、劣化症状が生じていたら、修理することが建物を長く維持するためのポイントになります。
コーキングの劣化症状
コーキングの劣化症状には様々なものがあります。
コーキングが黒く汚れている
コーキングが打たれた目地部分が黒く汚れていて洗っても落ちないことがあります。カビでもない黒ずみの場合は、ブリード現象が生じている可能性があります。
ブリード現象とは、コーキングに含まれる可塑剤がにじみ出て、塗料や汚れと反応して変色する現象です。コーキングと塗料の相性が悪い場合に起きやすいです。
ブリード現象が起きるとコーキングが固くなり、目地が痩せてしまいます。
最近では、ノンブリードタイプのコーキングもあるので、コーキング工事の際に塗料との相性の良いものを選んでもらいましょう。
コーキングが痩せている
コーキングは、日々、気温の変化を受けて収縮を繰り返しています。そのため、歳月が経過するにつれて、コーキングが縮んだままになり、コーキングが痩せた状態になります。
コーキングの弾力が失われた状態になるため、ひび割れが発生しやすくなります。
コーキングが剥離している
コーキングと外壁の境目などに隙間が生じてしまっている状態です。
コーキングが剥がれることを防止するために、コーキングを打つ前に隙間にプライマー(接着剤)を塗っています。
このプライマーを塗り忘れていると、コーキングの耐用年数が経過する前に剥がれてしまうことがあります。この場合は施工不良です。
歳月が経過すれば、コーキングの弾力が失われ、目地から剥離する状態が生じることもあります。この場合は経年劣化と言えます。
いずれの場合でも、目地に隙間が生じている場合はその隙間から雨水が染み込んでしまい、雨漏りの原因になりますし、耐力壁や柱、梁といった建物を支える重要部分が腐ってしまう恐れがあるので、早めの補修工事が必要です。
コーキングがひび割れている
経年劣化により目地のコーキングにひび割れが生じている状態です。
歳月が経過するとコーキングの弾力性が失われてしまい、ひび割れが生じてしまいます。
コーキングのひび割れが深くなると、外壁の内部に雨水が染み込みやすくなるため、早めに補修工事を行う必要があります。
コーキングが断裂、脱落している
コーキングのひび割れや剥離がさらに進行して、断裂、脱落している状況になった場合は、コーキングの機能が失われているので、すぐにコーキング工事を行う必要があります。
コーキングの打ち換えと増し打ちの違い
コーキングの施工方法は、「打ち換え工法」と「増し打ち工法」の2種類があります。
コーキングの打ち換え工法
打ち換え工法は、既存のコーキングを完全に撤去したうえで、新しいコーキングを充填する方法です。
古くなったコーキングは、ひび割れや隙間が生じており、コーキングとしての性能が低下しています。そこで全て撤去してしまい、新しいコーキング材を充填していくということです。
外壁塗装の際にコーキング工事を行う場合は、打ち換え工法が用いられるのが一般的です。
コーキングの増し打ち工法
増し打ち工法は、既存のコーキングを残したままその上から新しいコーキング材を充填する方法です。
基本的には用いられない工法ですが、既存のコーキングを撤去することが難しい場合は、増し打ち工法が用いられることがあります。
手抜き工事ではありませんが、増し打ち工法を用いている場合は、その理由を聞いておくとよいでしょう。
コーキングの打ち換えと増し打ちの費用の違い
コーキングの打ち換え工法と増し打ち工法とでは、増し打ち工法の方が、使用するコーキングも少なくて済むため、工事の費用を抑えられます。
ただ、増し打ち工法は古いコーキング材の上から薄く塗るだけなので耐用年数は短くなります。
打ち換え工法なら、コーキング全体が新調されるため、5年から10年といった比較的長い耐用年数が期待できます。
増し打ち工法の方が安いと言っても、その差は3万円から5万円といった差でしかありません。
耐用年数を考慮するなら、打ち換え工法の方が長持ちしますし、トータルのランニングコストが良いです。
コーキングの先打ちと後打ちの違い
外壁塗装とコーキング工事を同時にやる場合は、「先打ち」と「後打ち」のどちらかという話が出てくることがあります。
コーキングの先打ちとは、コーキングを先に行い、その後で塗装工事を行うという意味です。
一方、コーキングの後打ちとは、塗装工事を先に行って、その後でコーキング工事を行うという意味になります。
コーキングの先打ちを行った場合は、コーキングも塗膜によって覆われることになります。
そのため、コーキングも保護される状態になるので、紫外線や風雨の影響を受けにくくなります。コーキングも塗膜と同じ色になるので目立ちにくくなる利点もあります。
コーキングの後打ちの場合は、コーキングがむき出しのまま、紫外線や風雨を浴びるため、劣化が早くなります。
そのため、コーキングの先打ちの方が良いとお考えになる方が多いと思いますが、必ずしも、先打ちが良いとは限りません。
コーキング材は柔軟性がありますが、塗料は乾くと固くなるため、塗膜がコーキング材の柔軟性に負けてひび割れしてしまう事があるからです。
外壁塗装とコーキング工事は同時に行うべきか?
外壁塗装とコーキング工事は同時に行うべきです。
コーキングの寿命は外壁塗装の塗膜よりも寿命が短いですが、コーキングの寿命に気づかないまま放置されていることも珍しくありません。
そのため、外壁塗装を検討される時期は、コーキングの補修を行うべき時期と重なることが多いです。
また、コーキング工事だけを行うにしても、足場をかける必要があります。
そのため、外壁塗装工事で足場をかけた機会に、コーキング工事も同時に行っておいたほうがトータルのコストを抑えられることになります。
このように外壁塗装とコーキング工事の相性は良いため、ほとんどの塗装業者はコーキング工事にも対応しています。
まとめ
コーキングは時間が経つにつれて「痩せる」「ひび割れ」「剥離」「剥がれ」「脱落」といった劣化症状が出てきます。
コーキングは外壁本体のひび割れなどと比べると軽視されがちですが、放置すると雨漏りの原因となりますし、建物が傷んでしまいます。
コーキングの劣化サインが見られたらできるだけ早く補修メンテナンスを行うようにしましょう。
弊社は江戸川区を拠点に、地域密着で塗装工事を行っております。これからも地元の方の期待に応えられるようより高い塗装技術と知識を会得していく次第です。当社事務所でのお打ち合わせ、ご相談もお気軽にご来社ください。
▷江戸川にて外壁塗装・屋根塗装〈付帯部とベランダを含む塗装メンテナンス〉