スレート屋根は、セメントを主な原料とする屋根材で初期塗装により防水性能を維持しているものがほとんどです。
そのため、塗膜が劣化したら、屋根塗装によるメンテナンスが必要になります。
スレート屋根の屋根塗装を検討すべきタイミングやメンテナンス方法について解説します。
スレート屋根とは
スレート屋根は、天然スレートと化粧スレートに分けることができます。
天然スレートは、天然の粘板岩を板状に加工したものをそのまま屋根材として使うものです。海外では城や教会、修道院の屋根材として使われていますし、日本では、東京駅の屋根に宮城県登米市登米町で産出した粘板岩(スレート)が葺かれています。
ただ、天然スレートは資源に限りがあるため、一般的な一戸建てでは使われていません。
一般的にスレート屋根という場合は、化粧スレートを指します。
化粧スレートとは
化粧スレートとは、セメントと繊維状の素材を混ぜて薄い板状に加工した屋根材のことです。
瓦に比べると軽量で施工しやすいことから主流の屋根材となっています。
市場では、コロニアル、カラーベストと言った名称で出回っています。
化粧スレートは、製造時期により、大きく2種類に分けられます。
アスベストスレート
石綿(アスベスト)を含んだスレートのことです。石綿(アスベスト)は発がん性が高く危険な建材として忌避されていますが、石綿(アスベスト)を含んだスレート屋根は頑丈だったことから、広く使われていました。
現在では新たに使われることはありませんが、昭和から平成の前期にかけて新築した住宅の場合は、使われている可能性があります。
ノンアスベストスレート
石綿(アスベスト)を含まないスレート屋根のことです。アスベストスレートの使用が禁止された2006年(平成18年)前後から使われるようになりました。ただ、初期のノンアスベストスレートは耐久性が低く、塗装によるメンテナンスができないものもあるので注意が必要です。
スレート屋根の耐久性は?
スレート屋根はセメントが主な原料です。
セメント自体には耐水性がないため、そのまま屋外に放置すると雨水をたくさん吸い込んでしまいます。
本来は、屋根材には向かないように見えますが、その点をカバーするのが、スレート屋根に施されている初期塗装の塗膜です。
塗膜が雨水を弾くために、防水性能を維持しているわけです。
ただ、塗膜は永久に持つものではなく、一定期間経過すると劣化し、それに伴い、防水性能も失われていきます。
防水性能が失われると、スレート屋根本体が雨水を吸い込みやすい状態になり、やがては、スレート屋根本体の劣化につながってしまいます。
スレート屋根の耐用年数は?
スレート屋根の耐用年数は、スレート屋根の初期塗装が劣化して防水性能が失われ、スレート屋根本体も劣化してしまうまでの年数です。
一般的には、10年から20年程度と言われています。
10年から20年程度と幅があるのは、屋根の環境にもよるためです。
過酷な環境下に置かれている場合は、耐用年数が短くなります。また、屋根の形状によっても異なります。雨水が流れやすい勾配のある屋根なら、比較的長持ちすることもありますが、逆に勾配が緩やかで雨水が流れにくい形状だと、劣化が早くなります。
スレート屋根のメンテナンスの目安
スレート屋根のメンテナンスは、新築から10年から20年程度経過したら検討すべきです。
特に次のような劣化症状が確認される場合は早めにメンテナンスすべきです。
色褪せが確認できる
スレート屋根が色褪せている場合は、塗膜が劣化している証拠になります。
スレート屋根の塗料は、日々太陽の紫外線を浴びることで劣化し、色褪せると共に、防水性能も徐々に低下していきます。
防水性能が失われると、スレート屋根自体が雨水を吸水しやすくなるため、再塗装により防水性能を回復させる必要があります。
カビやコケの繁殖
スレート屋根にカビやコケが繁殖しているということは、スレート屋根自体が水分を含んでいて、その水分により、カビやコケが繁殖しているということです。
カビやコケがスレート屋根に根付くと、スレート屋根自体を脆くしてしまうため、カビやコケを洗い流したうえで、再塗装により防水性能を回復させる必要があります。
ひび割れ
スレート屋根が脆くなるとひび割れが発生することもあります。
スレート屋根は、厚みが5〜6ミリ程度しかありません。薄いため瓦と比べて軽量で、屋根全体が軽くなるため、耐震性の向上に役立つわけですが、薄いと言うことは脆くなった時に割れやすいと言うことです。
スレート屋根にひび割れが生じてしまった場合は、塗装だけでなく、屋根の補修が必要になります。
欠けや脱落が生じている
スレート屋根にひび割れだけでなく、完全に欠けてしまったり、欠けた部分が強風などで飛ばされてどこかへ飛んで行ったような場合は、欠けた部分に雨水が染み込み、雨漏りが生じている可能性もあります。
この場合は、欠けた部分を交換するといった対応が必要です。
欠けが広範囲に広がっている場合は、もはや、塗装前の下地調整といったレベルではなく、屋根自体の葺き替えが必要になります。
反りが生じている
スレート屋根には厚みが5〜6ミリ程度しかないため、雨水を吸水するようになると、雨の後で強烈な太陽の日差しを浴びたときに、一気に乾燥し、それに伴って、反りが発生してしまうことがあります。
ちょうど、するめ等を焼いたときのように反ってしまうわけです。
これを繰り返すと、スレート屋根に隙間が生じて、雨水が下地に染み込みやすくなりますし、ひび割れや欠けも発生しやすくなります。
このような状態だと、下地調整では対応できないこともあり、屋根自体の葺き替えを検討しなければならないこともあります。
スレート屋根のメンテナンス方法
スレート屋根のメンテナンス方法は、主に3通りあります。
✅塗装
✅カバー工法
✅葺き替え
一つ一つ確認しましょう。
塗装
塗装は、スレート屋根の状態が比較的良い場合やまだ寿命を延ばせると期待できる時に行います。
スレート屋根が色褪せていたり、カビやコケが生えているという程度の時に行うことができます。
また、スレート屋根自体が損傷している場合でも、ひび割れ程度にとどまる場合であれば、補修を行ったうえで、塗装することにより、寿命を延ばすことができます。
3つの工法のうちでは最も費用を押さえられるメンテナンス方法です。
カバー工法
カバー工法とは、現状のスレート屋根の上に、屋根材を施工する工法です。重ね葺きとも言います。
スレート屋根の場合は、ガルバリウム鋼板などの金属屋根が採用されるケースが多いです。
スレート屋根の上に防水シートを張りめぐらして、その上に直接、金属屋根を打ち付けていきます。
そのため、スレート屋根の状態が比較的よく、屋根の下地である野地板が腐食していないことが前提になります。
すでに雨漏りが発生している場合は、野地板も腐っている可能性があるため、カバー工法を採用することはできません。
カバー工法は、既存のスレート屋根を撤去する必要がないため、葺き替えよりも工期が短く、費用も少なくて済むというメリットがあります。
葺き替え
スレート屋根の劣化が著しく、雨漏りなどが発生している場合は、塗装もカバー工法も採用できないことがあります。
この場合は、現在のスレート屋根をいったん撤去し、防水シートや野地板も剥がして屋根を作り直し、新しい屋根材に葺き替える必要があります。
既存の屋根の撤去に日数がかかる分、工期が伸びますし、廃材の処分費用も掛かるため、費用も高くなります。
ただ、屋根を新調するため、雨漏りは完全に止められますし、屋根のメンテナンスの悩みからも解放されます。
スレート屋根を塗装でメンテナンスするメリット
スレート屋根を塗装によりメンテナンスをするメリットを紹介します。
防水機能が回復する
スレート屋根に色褪せが生じたり、カビやコケが生じている場合は、塗膜が劣化して防水性能が失われていることになります。
この状態で、スレート屋根をきれいに洗って、カビやコケを落としたうえで再塗装すれば、防水機能が回復します。
雨水をよく弾く状態になるため、カビやコケも生えにくくなり、再塗装の塗膜が劣化する時期まで寿命を延ばすことができます。
美観が回復する
スレート屋根に色褪せが生じているとみずぼらしい雰囲気になってしまいますが、塗装を行うことにより、美しい色合いが回復します。
他の工法と比べて安価である。
カバー工法や屋根の葺き替えを行う場合は、新しい屋根材を購入する必要がありますし、廃材を処理するための費用も掛かります。
その点、塗装のみのメンテナンスの場合は、基本的に屋根材の交換等は必要ないため、費用を押さえられる点がメリットです。
塗装とカバー工法、葺き替えにかかる費用を比較すると、使用する塗料や屋根材の種類によっても異なりますが、次のような相場になります。
・塗装
30~80万円
・カバー工法
70~140万円
・葺き替え
100~200万円
スレート屋根を塗装でメンテナンスするデメリット
スレート屋根のメンテナンスを塗装のみで済ませることのデメリットを紹介します。
スレート屋根の寿命は延びない
スレート屋根に塗装しても、スレート屋根自体の性能が回復するわけではありません。
そのため、脆くなったスレート屋根に塗装しても効果はありません。
痛みがそれほど激しくないスレート屋根を対象に劣化を遅らせることが、再塗装の意味である点を押さえましょう。
スレート屋根の損傷が激しい場合は対処できない
スレート屋根の損傷が激しい場合は、塗装によるメンテナンスは意味を成しません。
特に初期のノンアスベストスレートは、劣化が早く塗装できない場合もあります。
まとめ
スレート屋根は屋根塗装によるメンテナンスが必要な屋根材です。
塗装のみで済ませるためには、色褪せやカビ、コケの発生が確認出来たら早めにメンテナンスを行うことが大切です。
弊社は江戸川区を拠点に、地域密着で塗装工事を行っております。
屋根塗装に先立って、屋根の状態を確認させていただき、塗装のみでメンテナンスできるかどうかアドバイスさせていただきます。
これからも地元の方の期待に応えられるようより高い塗装技術と知識を会得していく次第です。屋根塗装や外壁塗装に関してお困りのことがあればいつでもお問い合わせください。