フッ素塗料や無機塗料は、耐用年数、耐久性の長い塗料として知られています。外壁や屋根の塗装に一般的に使われるシリコン塗料と比較しても、倍近く長持ちするため、トータルのランニングコストを抑えられる可能性があります。
一方で、フッ素塗料や無機塗料を外壁や屋根に塗装する際には注意すべき点もあります。
フッ素塗料や無機塗料の特徴について解説します。
フッ素塗料や無機塗料は耐用年数が長い?
住宅の外壁や屋根は、ほとんどの場合、塗装によるメンテナンスが必要ですが、塗装工事を一回行うだけで、100万円単位の費用がかかってしまうのが一般的です。
そこで、メンテナンスの頻度を減らすために、耐用年数が長いとされる塗料を検討する方も多いと思います。
今、主流のシリコン塗料の耐用年数は10年〜13年ほどとされており、おおよそ10年ほどのスパンで、再塗装や塗り直しを検討しなければなりません。
一方、フッ素塗料や無機塗料は、耐用年数の目安が、それぞれ、次のとおりになっています。
フッ素塗:15年〜20年
無機塗料:20年~25年
環境や様々な条件にもよりますが、フッ素塗料や無機塗料を塗れば、一般的な塗料の約2倍の期間にわたり、再塗装や塗り直しが必要なくなるわけです。
その分、メンテナンスにかかる費用を抑えられると期待できるわけです。
では、フッ素塗料や無機塗料とはどのような塗料なのか解説していきます。
フッ素とは
フッ素は、私たちの生活の様々な場面で使われています。
よく知られているのは、歯の治療や歯磨き粉などで使われるフッ素ではないでしょうか。フッ素によって歯の質を強固にし、虫歯を防ぐといわれています。
また、フッ素加工したフライパンは焦げ付きにくいことで知られています。
外壁塗料のフッ素と、これらのフッ素は別物ではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は同じなのです。
フッ素塗料とは
フッ素塗料とは、フッ素樹脂を配合した塗料のことです。
化学的にはフッ素樹脂は、原子間の結合力が強いことが特徴となっており、そのため、他の塗料と比べても優れた耐候性を有しています。耐候性とは、気候の変化に耐える力のことで、太陽の光や紫外線、雨水、温度変化によって、変形・変色・劣化などの変質を起こしにくい性質のことです。
耐候性の他にも、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性、撥水性、滑り性、非粘着性といった性質があります。
フッ素塗料の性質をまとめておきましょう。
フッ素塗料の性質とメリット
フッ素塗料には様々な性質があり、その点がメリットにもなっています。主なものを紹介していきましょう。
耐用年数が長い
屋根や外壁にフッ素塗料を塗った場合のメリットはやはり、耐用年数の長さです。
耐用年数は15年〜20年とされており、一般的な塗料と比べても耐用年数が倍近く長いです。そのため、メンテナンス回数を減らすことができ、トータルのランニングコストを抑えることが期待できます。
防カビ・防藻性が高い
外壁は、カビやコケがこびりつくことにより、汚れていきますし、根が張ってしまい、外壁自体の劣化につながることがあります。
その点、フッ素塗料は防カビ・防藻の性能が高く、カビやコケがこびりつきにくい特徴があります。
親水性により汚れが落ちやすい
特殊な親水性付与硬化剤が配合されたフッ素塗料は、親水性塗膜を形成します。
そのため、フッ素塗料を塗った表面に汚れが付いたとしても、壁と汚れの隙間に水が浸透しやすく、汚れが落ちやすいという性質があります。
汚れがついても水洗いするだけで簡単に落ちますし、雨水だけで汚れを落とすことも可能です。
酸性雨に強い
フッ素塗料は耐薬品性に優れているため、酸性雨にも強い性質があります。
傷がつきにくい
フッ素塗料は耐久性や耐摩耗性にも優れており、傷がつきにくい特徴があります。また、光沢が長持ちします。
フッ素塗料のデメリット
フッ素塗料は優れた塗料ですが、デメリットもあるため、塗る前によく検討すべきこともあります。
価格が高い
フッ素塗料は、他の塗料と比べても価格が割高になります。実際の価格は塗料の種類や施工方法によって上下しますが、他の塗料と比較した場合の価格のおおよその違いは次のとおりです。
✅アクリル樹脂塗料
1,500円~1,800円/平方メートル
✅ウレタン樹脂塗料
1,800円~2,200円/平方メートル
✅シリコン樹脂塗料
2,500円~3,200円/平方メートル
✅フッ素樹脂塗料
4,000円~4,500円/平方メートル
塗膜が固くなる
フッ素塗料は、固い塗膜を形成します。そのおかげで、優れた耐摩耗性を発揮して傷がつきにくくなるわけですが、建物の屋根や外壁にとってはこれがデメリットとなることがあります。
例えば、モルタル外壁は経年劣化によりひび割れが生じることは避けられません。
そのような場合、塗膜が伸びることで、ひび割れによる影響を最小限に抑えられますが、この性質を弾性と言います。
フッ素塗料は固く弾性に乏しいのが一般的です。外壁がひび割れするとフッ素塗料の塗膜も一緒にひび割れしてしまいます。
そのため、ひび割れしやすい外壁材や屋根材には向かない塗料になります。
再塗装しにくい
フッ素塗料は、汚れが付きにくい塗料です。逆に言えば、フッ素塗料を塗った外壁に再塗装する必要が生じた場合も、塗料が乗りにくく、再塗装が困難になってしまうということです。
一旦、フッ素塗料を塗った外壁に再塗装する場合は、特殊な下地処理が必要になりますし、使える塗料も限定されてしまいます。
そのため、フッ素塗料を塗った外壁や屋根をメンテナンスする際はどうしたらよいのか、知識のある塗装業者によく確認することが大切です。
無機塗料とは
無機塗料とは、セラミックやケイ素といった無機物を主な成分とした塗料のことです。
無機塗料の対になる塗料として、有機塗料が挙げられます。
有機塗料は、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素といった炭素を含む有機物を主な原料とした塗料のことです。
有機塗料は、紫外線により分解されることで、色褪せなどの劣化症状が生じます。フッ素も紫外線に強いですが、劣化しないわけではありません。
一方、無機塗料は、セラミックやケイ素といった炭素を含まない自然の無機物を主な原料としています。
無機物は紫外線による劣化が殆ど起こらないことから、耐候性の高い塗膜を作ることができます。
無機塗料のメリット
無機塗料には、様々なメリットがあります。代表的なものを挙げていきましょう。
耐候性が高い
フッ素塗料も耐候性が高いですが、無機塗料は更に耐候性が高い塗料です。
紫外線による劣化は殆どありません。
そのため、外壁の表面を長期間にわたり保護することができます。
不燃性がある
無機塗料は、炭素を含まない鉱物が主な原料なので、燃えにくいです。
そのため、建物の屋根や外壁に無機塗料を塗っておくことで、もらい火による火事を防ぎやすくなります。
ただし、火事の時の火の回り方は様々なので、外壁や屋根に無機塗料を塗ったからと言って絶対に安心できるわけではありません。
防カビ・防藻性が高い
無機塗料には、カビや苔の栄養となる有機物が含まれないため、カビや苔が発生することを防止できる効果があります。
汚れが落ちやすい
無機塗料は、外壁や屋根にガラスのような塗膜を形成する塗料ということができます。
そのため、汚れがついたとしても、水洗いによって落としやすい特徴があります。
無機塗料のデメリット
無機塗料は優れた塗料ですが、デメリットもあるため、塗る前によく検討すべきこともあります。
価格が高い
フッ素塗料も価格が割高ですが、無機塗料は更に割高になるのが一般的です。
✅無機塗料
5,000円~5,500円/平方メートル
シリコン樹脂塗料などの一般的な塗料と比較すると、約2倍近い価格差になります。
塗膜が固くなる
フッ素塗料と同様に無機塗料も塗膜がガラスのように固くなります。
耐摩耗性の面では優れていますが、弾性がないために、屋根材や外壁材がひび割れた場合は、無機塗料の塗膜も一緒にひび割れてしまう可能性があります。
そのため、ひび割れしやすい建材への塗装には向きません。
再塗装しにくい
再塗装しにくいことも、フッ素塗料と同様です。
ガラスに塗料を塗るようなものですから、一旦、無機塗料を塗った建材に再塗装する際は、特殊な下地処理が必要になります。
フッ素塗料や無機塗料を塗装する際の注意点
フッ素塗料や無機塗料を塗装する際は、
・塗装工事の難易度が高い
・再塗装は難しい可能性がある
この2点に注意する必要があります。
塗装工事の難易度が高い
フッ素塗料や無機塗料の塗装工事は、一般的なシリコン塗料とは異なります。
どちらも塗膜が固くなることから、高い技術力が求められますし、メーカーが定めた手順をしっかり守って塗装する必要があります。
技術力のある職人がしっかり塗装しないと、期待通りの性能を得られませんし、20年以上持つどころか、5年でだめになってしまうこともあります。
再塗装は難しい可能性がある
既に紹介した通り、フッ素塗料や無機塗料の塗膜は汚れがつきにくい性質がありますが、再塗装を行う場合はその点がネックになってしまいます。
そのため、塗装から20年経過した際の外壁や屋根のメンテナンス方法をどのようにするのか、あらかじめ計画しておく必要があります。
例えば、フッ素塗料や無機塗料を塗ったら、20年後のメンテナンスでは、外壁の張替え、屋根の葺き替えで対応すると言った計画を決めておきましょう。
まとめ
フッ素塗料や無機塗料は、耐久性や耐候性に優れた塗料です。
ただ、一般的な塗料と違い、塗装には高い技術が必要ですし、いったん塗装してしまうと、再塗装時にメンテナンス方法の選択肢が限られてしまう点に注意が必要です。
弊社は、江戸川区を拠点に地域密着で塗装工事を行っております。
フッ素塗料や無機塗料の塗装技術と工事実績もありますので、ご要望に応じることができます。
これからも地元の方の期待に応えられるようより高い塗装技術と知識を会得していく次第です。屋根塗装や外壁塗装に関してお困りのことがあればいつでもお問い合わせください。
▷最も主流な外壁材「サイディング」のメンテナンス方法について